睡眠環境を整えて睡眠の質を高めよう

また、睡眠という意識状態は、運動系が極端に抑制されるため、身体が一定の姿勢でかなりの時間保持され易くなります。これが悪く働くと「寝違え」となり、朝起きた時に首が痛いといったことになるのです。一方、寝返りによって良く働く、つまり正しい寝姿勢ができている場合、整体と同じ機能を果たすことも期待できます。枕を変えてから腰や背中の痛みが和らいだといった話は、枕がさまざまな寝姿勢の保持に重要な役割を果たしていることであり、これが整体機能を発揮しているものと考えられるからです。

寝返りは誰にでも共通して見られるもので、睡眠が最も深いところで起こる非常に大きな動きのことです。この動きは粗体動（gross movement）と呼ばれています。

そもそも大脳生理学では、運動とは脳からの出力で、脳内で情報処理された結果が筋肉を通して運動として脳の外に出力されるとしています。このような運動には必ず目的があり、睡眠中の寝返りにも何らかの意味や目的があることが考えられているのです。そして睡眠中の寝返りは、人間が普段気づいていない無意識の世界で起こっている脳からのメッセージであり、これは脳を深く理解する大きな手がかりであるとも考えられます。

睡眠中の寝返りの役割としては、1)骨格の歪みの矯正　2)肩甲骨、骨盤等が自然ストレッチされる　3)血行の改善　4)布団の中の温度や湿度の調整　5)睡眠の深さを切り替えるスイッチ、などが挙げられます。

安眠を得るには枕とマットレス（ベッドなど）も深く関係しています。寝る時は横になり、起きている時とは異なった姿勢になります。マットレスや枕が柔らかすぎる場合、寝返りもしにくくなり、首や腰などに負担がかかって体が休まらないだけでなく、寝付きが悪いといったことが原因で、脳も休まりません。

このことから、マットレス（ベッドなど）には寝返りしやすい適度な硬さが必要であり、沈み込みが少ない方がより良い環境を生みやすくなるということが分かります。